日本の旧石器時代とは?
旧石器時代とは、人類が石を打ち砕いて作った打製石器や動物の骨などを砕いて作った骨角器のような簡素な道具を用いるようになった時代のことを指します。日本の旧石器時代は、約4万年前に、人類が日本列島に移住してきたときから始まります。
日本の旧石器時代 目次
旧石器時代とは
人類最初の時代である原始時代は、人類が使用していた石器の種類によって区分されます。
石を打ち砕いて作った打製石器を使っていた時代を「旧石器時代」といい、石を砂や別の石で磨いて作った磨製石器を使っていた時代を「新石器時代(日本では縄文時代と弥生時代)」といいます。
旧石器時代は、人類が打製石器を使い始めたとされる約260万年前から始まり、以下のとおり、前期・中期・後期の3つの時期に区分されています。
- 前記旧石器時代:約260万年前~約30万年前
- 中期旧石器時代:約30万年前~約4万年前
- 後期旧石器時代:約4万年前~約15,000年前
日本の場合、旧石器時代は、我々の直接の祖先となるホモ=サピエンスたちが日本列島に移住してきたときです。
約700万年前にアフリカでチンパンジーとの共通祖先から最初の人類が誕生します。この最初の人類は「猿人」と呼ばれています。
猿人の後、約240万年前に「原人」が登場し、約60万年前には「旧人」が現れ、約20万年前に「ホモ=サピエンス」が誕生します。
約6万年前、このホモ=サピエンスたちはアフリカを飛び出し、世界各地へと散っていきます。これを「出アフリカ」と言います。
世界に飛び出したホモ=サピエンスの中で、日本列島に到達する者が現れます。日本の旧石器時代はそのときから始まるのです。
日本の旧石器時代の始まり
前記のとおり、日本の旧石器時代の始期は、ホモ=サピエンスたちが日本列島に移住してきたときです。
もっとも、日本では、前期・中期の時代に、日本列島に現生人類が移住してきたことを示す明確な証拠が発見されていません。
それでは、いつ頃、ホモ=サピエンスたちが日本列島に移住するようなったのかというと、それは約4万年前であると考えらています。
後記のとおり、約4万年前の日本は氷期で、海面が低く、朝鮮半島やロシアなどとほぼ地続きになっているような時期がありました。
そのため、朝鮮半島を経由して本州に移住するルートや樺太を経由して北海道に移住するルートなどから、日本へ渡ってきたと考えられています。
また、どのような航海技術を用いていたかは分かりませんが、台湾から沖縄を経て日本列島へ渡ってくるルートもあったようです。
いずれにしても、日本の旧石器時代の始期は、ホモ=サピエンスたちが日本列島に移住するようなった約4万年前であると考えられています。そうすると、後期旧石器時代が、日本の旧石器時代に該当する時代ということになります。
このように、日本の旧石器時代は、約4万年から始まり、縄文時代となる約15,000年前まで続く非常に長い時代なのです。
日本の旧石器時代の環境
旧石器時代の日本は氷期であり、寒冷な時代でした。
氷期には、海水が蒸発して陸地に雪となって降ると、すべて氷河となってしまうため、海面が低くなっていました。
そのため、日本列島の本州・四国・九州はつながっており、現在の対馬海峡あたりは朝鮮半島と接続され、北海道も樺太・シベリアなどと地続きになっていたようです。
このような地形であったため、前記のとおり、人類が日本へと渡ってこれたのです。また、人類だけでなく、多くの生物が移動してきており、その中にはナウマンゾウ・エゾシカ・ツキノワグマなどの大型生物もいました。
むしろ、それら動物たちを追って、人類が日本列島にやってきたと言われています。
ただし、最近では、対馬海峡や津軽海峡には海が残っており、地続きにはなっていなかったとする研究もあります。そうなると、いったいどうやって渡航してきたのかは、新しい謎となるでしょう。
日本の旧石器時代の特徴
日本の旧石器時代には、以下のような特徴があります。
- 打製石器など簡易な道具を使っていました。
- 食料は狩猟や採集によって調達していました。
- 移住生活を送っており、自然の洞穴などで暮らしていました。
- すでに火を使っていたと言われており、埋葬などの文化もあったようです。
日本の旧石器時代の特徴
前記のとおり、旧石器時代には、石を打ち砕いて作った打製石器が作られていました。使われている石は、黒曜石、頁岩、安山岩などです。これらを使ってナイフや狩りのための槍などが作られていました。
動物の骨などを石器で削って作った骨角器なども作られていたようです。また、一部では、すでに石を磨いて作った石斧も作られていた形跡があります。
旧石器時代の終わり頃になると、すでに土器も作られていました。
狩猟と採集による食料の調達
旧石器時代の食料調達方法は、狩猟・採集が中心です。農耕はまだ行われていません。
ただし、氷期であったため、食べられるような植物は少なく、ナウマンゾウ、牛、イノシシ、ウサギ、シカなどの狩猟が中心であったと考えられています。
旧石器時代の人々の生活・住居
旧石器時代の人々は、獲物を求めて移住生活を送っており、定住はしていませんでした。
住居は、移住生活であったため、テントのような簡易な住まいや自然の洞窟などに居住しており、建物といえるほどの建造物はまだほとんどなかったようです。
ただし、旧石器時代の後期(約2万年前頃)には、簡易な竪穴式住居が作られていた形跡が残っています。
また、この時代には大きな集落はあまりなく、小規模の集落で生活していたと考えられています。
旧石器時代の文化
旧石器時代には、すでに火が使われており、調理や暖を取るための炉などに使われていたと考えられています。
また、装飾品などと一緒に遺体を埋めた跡が見つかっており、すでに死者を埋葬する習俗がすでに行われていたようです。